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マッサーージとレイキのお店「さゆら」のセラピストが気まぐれに更新する日記です。
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道程(前文)
今日の山元加津子さん(かっこちゃん)のメルマガに掲載されていた、

高村光太郎のかの有名な詩、「道程」の前文が、あまりに素晴らしかったので、

備忘録として転載します。

教科書で習う「道程」の詩が、これまでと全く違ったものに感じられます。

こんなにも強い決意と祈りの言葉を、

これまで目にしたことがありません。






私は、高村光太郎さんの「道程」の詩には、その前にすごく長い「道程」という
光太郎さんの詩があって、それが好きですと言いました。光太郎さんが、つらいこと
がいっぱいあっても、それでも、前へ突き進もうと、その思いに胸をうたれます。
・・・・・・・・
「道程」 どこかに通じてゐる大道を僕は歩いてゐるのぢやない 僕の前に道はない 
僕の後ろに道は出来る 道は僕のふみしだいて来た足あとだ だから 道の最端にい
つでも僕は立つてゐる 何といふ曲りくねり 迷ひまよつた道だらう 

自堕落に消え滅びかけたあの道 絶望に閉ぢ込められかけたあの道 幼い苦悩にもみ
つぶれたあの道 ふり返つてみると 自分の道は戦慄に値ひする 四離滅裂な 又む
ざんな此の光景を見て 誰がこれを 生命(いのち)の道と信ずるだらう それだの
に やつぱり此が生命(いのち)に導く道だつた そして僕は此処まで来てしまつた 
此のさんたんたる自分の道を見て 僕は自然の広大ないつくしみに涙を流すのだ あ
のやくざに見えた道の中から 生命(いのち)の意味をはつきり見せてくれたのは自
然だ これこそ厳格な父の愛だ 子供になり切つたありがたさを僕はしみじみと思つ
た たうとう自分をつかまへたのだ 恰度そのとき事態は一変した 

俄かに眼前にあるものは光を放出し 空も地面も沸く様に動き出した そのまに 自
然は微笑をのこして僕の手から 永遠の地平線へ姿をかくした そしてその気魄が宇
宙に充ちみちた 驚いてゐる僕の魂は いきなり「歩け」といふ声につらぬかれた
僕は武者ぶるひをした 僕は子供の使命を全身に感じた 子供の使命! 僕の肩は重
くなつた そして僕はもうたよる手が無くなつた 無意識にたよつていた手が無く
なつた ただ此の宇宙に充ちみちてゐる父を信じて 自分の全身をなげうつのだ 僕
ははじめ一歩も歩けない事を経験した かなり長い間 冷たい油の汗を流しながら 
一つところにたちつくして居た 僕は心を集めて父の胸にふれた すると 僕の足は
ひとりでに動き出した 不思議に僕は或る自憑の境を得た 

僕はどう行かうとも思はない どの道をとらうとも思はない 僕の前には広漠とした
岩畳な一面の風景がひろがつてゐる その間に花が咲き水が流れてゐる 石があり絶
壁がある それがみないきいきとしてゐる 僕はただあの不思議な自憑の督促のまま
に歩いてゆく しかし四方は気味の悪い程静かだ 恐ろしい世界の果へ行つてしまふ
のかと思ふ時もある 寂しさはつんぼのように苦しいものだ 僕はその時又父にいの
る 父はその風景の間に僅かながら勇ましく同じ方へ歩いてゆく人間を僕に見せてく
れる 同属を喜ぶ人間の性に僕はふるへ立つ 声をあげて祝福を伝へる そしてあの
永遠の地平線を前にして胸のすく程深い呼吸をするのだ 

僕の眼が開けるに従つて 四方の風景は其の部分を明らかに僕に示す 生育のいい草
の陰に小さい人間のうぢやうぢや這ひまはつて居るのもみえる 彼等も僕も 大きな
人類といふものの一部分だ しかし人類は無駄なものを棄て腐らしても惜しまない 
人間は鮭の卵だ 千万人の中で百人も残れば 人類は永久に絶えやしない 棄て腐ら
すのを見越して 自然は人類の為め人間を沢山つくるのだ 腐るものは腐れ 自然に
背いたものはみな腐る 僕は今のところ彼等にかまつてゐられない もつと此の風景
に養はれ育まれて 自分を自分らしく伸ばさねばならぬ 子供は父のいつくしみに報
いたい気を燃やしてゐるのだ ああ 人類の道程は遠い

そして其の大道はない 自然の子供等が全身の力で拓いて行かねばならないのだ 歩
け、歩け どんなものが出て来ても乗り越して歩け この光り輝く風景の中に踏み込
んでゆけ 僕の前に道はない 僕の後ろに道は出来る ああ、父よ 僕を一人立ちに
させた父よ 僕から目を離さないで守ることをせよ 常に父の気魄を僕に充たせよ 
この遠い道程のため













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